ケータイ

コンビニを主戦場。ケータイがマネーの中心に

06年はおサイフケータイが躍進した年。ケータイに電子マネーが続々と取り込まれた。おサイフケータイに対応する電子マネーの規格は、大きなものだけで5つに上る。ピットワレットの「EdyとJR東日本の「Suica」はプリペイド(先払い)の電子マネー。NTTドコモと三井住友カードが推進する「iD」や、JCBの「QUICPay」、ビザ・インターナショナルの「VISA TOUCH」はポストペイ(後払い)のケータイクレジットだ。このように乱立状態の”ケータイマネー≠セが、07年は使える場所が急激に増える。ローソン、ミニストップなど大手コンビニチェーンが、iD、Suica、Edyなど、複数の規格に対応した決済端末を展開予定だ。さらに、ガソリンスタンドや高速道路のサービスエリア、スキー場など、至るところでケータイマネーが使えるようになる。店頭でケータイをかざすだけで買い物ができるという点では変わりのないプリペイドとポストペイだが、加入条件や決済方法などに違いがある。プリペイドは、ケータイに対応したアプリをインストールすればすぐにでも使用が可能。ケータイの機種によっては、Edy対応のアプリなどがプリインストールされているものもあり、簡単に使い始められる。ただし、プリペイドでは、使用前にあらかじめ店頭での入金、クレジットカードや銀行口座からのオンラインでのチャージが必要。銀行口座からのチャージは、手数料がかかる場合がある。残金がなくなれば買い物はできない。一方、ポストペイのケータイクレジットは、プリペイドのように事前にチャージする必要はなく、クレジットカードと同様に、使ったぶんだけ後から請求される仕組みだ。ただし、ケータイで利用できるように準備するまでには、ひと手間かかる。ケータイクレジットの利用を始めるのに必要なのは、おサイフケータイと、各ケータイクレジットに対応したクレジットカード。対応するクレジットカードを持っている場合は、申込書で、あるいはウェブサイトからケータイで利用できるように申請。その後、届いたパスワードなどを用いて対応アプリをダウンロードし、初期設定をすれば使えるようになる。対応したクレジットカードを持っていない場合には、まずカード自体の申し込みが必要となる。

モバイルSuicaは伸び悩みで、方針大転換

06年1月に導入された「モバイルSuica」は、当初ビューカード以外のカードでチャージできない方針を取ったのが災いし、汎用性の低さから会員数が伸び悩んだ。しかし、06年10月からは、ビューカード以外のカードにも対応。さらに、クレジットカードのいらない「EASYモバイルSuica」サービスも始まり、敷居が低くなった。Edyは、クレジットカードによってはチャージに非対応のものや、カードのポイントが得られないものなどがあるが、難しい手続きは不要で、誰でも簡単に使えるのが特徴だ。こうしたプリペイドに比べて、ポストペイのケータイクレジットを利用するには、設定の煩雑さや加入制限などといった敷居の高さをどう克服するかが一つのポイントになる。iDやVISA TOUCH、QUICPayなどに対応したクレジットカードを持っていたとしても、規格にかかわらず、ポストペイの導入には手間がかかることに変わりはない。少しでも気軽にケータイクレジットを始めたいなら「DCMX mini」が便利。月々の利用限度額は1万円と少額だが、1モードから申し込みができてすぐに使い始められる。クレジットの利用額がケータイの利用料とともに請求されるので、簡便だ。さらに特徴的なのは、12歳以上から利用可能で、クレジットカードを作れない未成年でも使えること。ただ、使えるのはドコモのユーザーに限られる。ドコモの端末にDCMXのアプリが標準搭載されているのに対し、auのケータイにプリインストールされ始めたのがQUICPayだ。少額決済に特化した規格で、1回の買い物に利用できる上限額が2万円となっている。対応するクレジットカードは、JCBやトヨタファイナンスなどが発行するカードが中心。ただし、JCBの提携カードでは非対応のものもあり、順次対応していく予定だという。キャリアとの結び付きを強める2規格に対し、VISA TOUCH陣営は現状ではやや劣勢だ。もともとはUFJニコスの規格だった「Smartplus」をもとに、ビザ・インターナショナルがVISA TOUCHを展開。現在、UFJニコスはVISA TOUCHに準拠する形でSmartplusを展開している。ケータイには今のところプリインストールされておらず、利用するにはアプリをダウンロードする必要がある。

各社、加盟店開拓を急ぐ現状ではiDがリード

普及の行方は使える店がどこまで広がるかに懸かっている。ケータイマネーのなかでも、加盟店開拓で先行してきたのがプリペイド。Suicaは駅ナカ”だけでなく、コンビニエンスストアや書店など、"街ナカ"でも利用できる店舗が増えている。Edyも、コンビニやスーパー、居酒屋や百貨店などで使える機会が増えてきた。これを追うように、ケータイクレジットを利用できる店も急増中。一歩リードしているのがiDだ。急速に加盟店を増やしており、一部コンビニはすでに対応を開場サークルKサンクスやファミリーマートなども全店に導入予定で、ヨドバシカメラ、ビックカメラなどの量販店やタワーレコードなど、利用可能店舗が増えている。ドコモが展開するiDブランドのケータイクレジットサービス、DCMXは、06年4月のサービス開始から半年余りで契約件数が100万を突破。NTTドコモは「コンビニからタクシー、100円ショップまで、これからは少額でもクレジット利用が一般的になる」と力説する。こうした流れに拍車をかけそうなのが、セブン-イレブンを展開するセブン&アイ・ホールディングスの動き。同社は独自規格の電子マネー「nanaco」をセブンーイレブンで07年春から導入するのに向け、新型POS端末のセブン全店への配備を券N秋から進めている。実はこの端末、nanacoはもとより、EdyやSuica、iD、QUICPayやVISA TOUCHといった現行のケータイマネー規格すべてに対応できる仕様になっている。07年春からは、まずnanacoの利用を可能にして初年度1000万枚の発行を目指すが、07年秋ころから順次、そのほかの規格での支払いが可能になる予定だ。ケータイマネーの利用を、"リアルなマネー"同様に広げるには、規格に左右されることなく、どの店でも使える環境づくりが不可欠。全国約1万1000店を展開するセブン-イレブンの本格対応開始が、ケータイマネーの爆発的普及の発火点になる可能性は大きそうだ。

プリペイド
電子マネーには大きく分けて、前もって入金しておく「プリペイド」と、使ったぶんだけ請求される「ポストペイ」の2つがある。ケータイで使うにはどちらも専用のアプリが必要。また、ポストペイでは事前に対応するクレジットカードが必要で、誰でも加入できるというわけではない。プリペイドでは、ピットワレットの「Edy」とJR東日本の「Suica」をよく見かける。どちらもカード型から始まり、ケータイでも利用ができるようになった。Edyはおサイフケータイに対応アプリさえ入っていればすぐに利用可能。プリペイドの場合、残金が足りないと使用できず、こまめにチャージする必要がある。
Edy(ピットワレット)
全Edyの2割がおサイフケータイ対応クレジットカードの拡大を急ぐ
ケータイに搭載された最初の電子マネー。当初は利用者数が伸び悩んだが、ANAマイルとの連携で拡大した。今では400万台以上のケータイでEdyアプリが登録されている。使える店舗が多く利便性は高い。ただ、チャージに対応していないクレジットカードもあり、注意が必要。今後順次広げていくという。
対応カード・発行会社
●OMCカード●オークス●オリエントコーポレーション ●クレディセゾン●JCB●ジャックスカード●セントラルファイナンス ●ソニーファイナンス●Diners●DCカード●トヨタファイナンス ●ニコスカード●UFJカード(JCBブランドを除く)●VJAグループ ●三井住友カード●はくせんカード●Yahoo!JAPANカード ●UCカード●UCSカード●ゆめカード●LIFEカード●楽天KC
注)JCBは一部カードのみ対応。シティカード、横浜バンクカードは非対応
Suica(JR東日本)
チャージ対応カードが急拡大入会の敷居を下げ、拡大狙う
06年1月開始のJR東日本「モバイルSuica」。利用できるのはビューカード所有者に限られていたため会員数は伸び悩んでいた。そこで昨秋、方針を転換。現在ではほとんどのクレジットカードに対応、さらに、クレジットカードがなくても利用できる「EASYモバイルSuica」を始めるなど、敷居が下がった。
対応カード・発行会社
●ビューカード●JCB ●VISA ●MasterCard ●AMEX ●Diners
ポストペイ
ポストペイには三井住友カードとドコモなどが推進する「iD」、ビザ・インターナショナルやUFJニコスの「VISA TOUCH」、JCBが中心の「QUICPay」の3規格がある。対応したクレジットカードを持つことが条件で、ケータイを“子カード”として用いる。ただし、iDブランドでドコモが提供する「DCMX」は、おサイフケータイさえあれば利用を申請できる。
VISA TOUCH(ヒザ・インターナショナル)
クレジットカードの巨人VISAが参入。年間で利用者500万人を目指す
UFJニコスが開発した「Smartplus」の技術提供を受け、ビザ・インターナショナルが推進するケータイクレジット規格。3年後の09年末までに国内で利用者500万人、加盟店30万軒を目指す。クレジットカードとしては、国内発行枚数が8500万枚に達する
VISAブランド。今後VISA TOUCH対応クレジットカードが急増する可能性もある。
Smartplus(UFJニコス)
VISA TOUCHと互換。急拡大の可能性も
もとはUFJニコスの独自規格。VISA TOUCHに準拠し、Smartplusという名称でサービスを相互に互換性がある。

対応カード・発行会社
【VISA TOUCH】
●UFJニコス(ENEOS NICOS VISAカード、シェルスターレックスカード、E-NEXCO(VISA)カード、ママイLaVieカード)
今後、セントラルファイナンス、ジャックス、すみしんカード、スルガ銀行のVISAブランドカードなどが対応予定

【Smartplus】
●UFJニコス(JCBブランドを除く)
●DCカード

QUICPay(JCB)
au端末にプリインストール。ドコモ韓営と火花散らす
JCBが中心となって推進するケータイクレジット規格。現在、トヨタファイナンス、オリエントコーポレーションなど、様々な発行会社が対応している。au端末にもプリインストールされており、ドコモ陣営に対抗する。
対応カード・発行会社
●JCB(一部提携カードを除く)●トヨタファイナンス ●クレディセゾン(KDDI THE CARDのみ) ●セントラルファイナンス
●UFJカード(KDDI THE CARDのみ) ●オリエントコーポレーション ●OMCカード ●アイワイカード ●札信販エスコートカード
iD(NTTドコモ、三井住友カード)
ケータイ利用に特化し、業界標準を狙う。少額決済に限らず、メインカード化を目指す
ドコモが立ち上げたケータイクレジットブランド。05年末第1弾として三井住友カードがサービスの提供を開始した。当初は利用可能なカードが少なかったが、現在ではドコモが自ら発行するDCMXやクレディセゾン、イオンクレジットサービスなど、対応カードが広がっている。
DCMX(NTTドコモ)
端末プリインストールで急速に拡大
ドコモが提供するiD準拠のサービス。「DCMX mini」は12歳以上ならば利用が可能。iモード経由で入会でき、利用額ケータイの利用料と一緒に支払う仕組みなので簡便だ。
対応カード・発行会社
●三井住友カード ●イオンクレジットサービス ●みずほマイレージクラブカード(《セゾン》、UCカード) ●VJAグループ

ドコモはDCMXでさらにポイントアップ。auユーザーなら提携クレジットカードが得

ケータイの利用料でポイントをためるなら、キャリアのポイントプログラムと提携クレジットカードの組み合わせが有利になる。ドコモユーザーなら、まずは入会無料のドコモプレミアクラブに入っておくことが前提だ。通常1%の実質還元率が2%にアップ。さらに利用額に応じてステージが上がり、最大5%になる。加えて、ドコモ発行の「DCMX」ならば、買い物でも利用料でも1%還元分のポイントが付く。プレミアクラブと合わせれば、利用料に対し最大6%の還元となる。海外傷害保険や海外で使えるケータイの無料レンタルもあり、海外出張時でも使い勝手がいい。また、「ドコモカード」では、利用料にポイントは付かないが、プレミアクラブのステージが一段アップ。買い物でも1%還元分のポイントが付く。auポイントプログラムでは、ケータイ利用料100円で1ポイントもらえる。さらに、100円で1マネー(0.5ポイント換算)が付く「KDDI THE CARD」でケータイ料金を支払えば、ポイントは約1.5倍。機種変更時などに500ポイントを1050円分として使え、実質還元率は約3%になる。

 NTTドコモ

 NTTドコモ
DCMX
(NTTドコモ)
国際ブランド VISA
年会費 ○ 1312円(初年度無料。2年目以降も年間1回でも利用すれば無料)
ポイント実質還元率   ○ 3〜6% (ケータイ料金に対して)
ポイントの付き方 JR東日本などでの利用:1000円→6p
一般加盟店:1000円→2p(いずれもJR東日本のポイント)
ポイントの使い方 100円→1p(ドコモプレミアクラブに加えて)
ポイントの移行先の多さ × なし
旅行傷害保険の手厚さ △ 海外:最高2000万円
電子マネーへの対応 鉄道系 × モバイルSuicaのみ
その他 ○ Edy、iD
海外アシスタンスサービスの充実度 × 三井住友カードに準拠
加盟店の多さ ○ VISA
そのほか 携帯電話購入後1年以内の紛失・盗難、事故によるドコモショップでの
買い替えを最大1万円まで補償

 NTTドコモ

 NTTドコモ
DoCoMo UFJ Card
(UFJニコス)
国際ブランド

VISA,MasterCard、JCB

年会費 ○ 1050円(ドコモの利用料をカードで払うと無料)
ポイント実質還元率   ○ 3〜5% (ケータイ料金に対して)
ポイントの付き方 ドコモ利用料:ドコモプレミアクラブを1ステージアップ
ドコモ利用料以外:100円→1p
ポイントの使い方 機種変更時:100p→100円
ポイントの移行先の多さ × なし
旅行傷害保険の手厚さ △ VISA,MasterCard:海外:最高2000万円 国内:最高1000万円
× JCB:なし
電子マネーへの対応 鉄道系 × モバイルSuicaのみ
その他 ○ VISA,MasterCard:Edy、Smartplus
× JCB:なし
海外アシスタンスサービスの充実度 △ VISA,MasterCard:UFJニコスに準拠
○ JCB:JCBに準拠
加盟店の多さ ○ VISA、MasterCard
△ JCB
そのほか 携帯電話購入後1年以内の紛失・盗難、事故によるドコモショップでの
買い替えを最大1万円まで補償

 au

 au
KDDI THE CARD
UFJカード(UFJニコス)
国際ブランド

VISA,MasterCard

年会費 ○ 1312円(初年度無料。2年目以降も条件を満たすと無料)
ポイント実質還元率   ○ 3.15% (ケータイ料金に対して)
ポイントの付き方 100円→1マネー(auポイントプログラムに加えて)
ポイントの使い方 1マネー→1円、もしくは1マネー→0.5p(auポイント)換算で
機種変更時:500p→1050円
ポイントの移行先の多さ × なし
旅行傷害保険の手厚さ △ 海外:最高2000万円 国内:最高1000万円
電子マネーへの対応 鉄道系 × モバイルSuicaのみ
その他 ○ Edy、QUICPay
海外アシスタンスサービスの充実度 △ UFJニコスに準拠
加盟店の多さ ○ VISA、MasterCard
そのほか  
注)実質還元率は、各社のポイントプログラムの還元率と合わせて計算したもの。KDDI THE CARDは、KDDI利用料等をカードで支払うと年会費が無料になる

NTTドコモは利用額に応じて還元率がアップ

名称 ドコモプレミアクラブ
(NTTドコモ)
auポイントプログラム
(KDDI)
実質還元率 2〜5% 2.1%
ポイントの付き方

100円→2〜5p(前年の携帯電話等利用料金10万円未満
で2p、10万円以上で3p、15万円以上で4p、
25万円以上で5p)

100円→1p、1年以上の継続利用で、1年ごとに
100p
ポイントの使い方 機種変更時など:100p→100円 機種変更時など:500p→1050円