クレジットカードに関連する法律1

1.割賦販売法

(1)法律の適用範囲と目的

クレジットカードが適用を受ける法律は民法などの一般法はもちろんですが、関係する特別法としては割賦販売法と貸金業規制法があります。割賦販売法はショッピングの一部に適用になり、貸金業規制法はキャッシングのほとんど全部に適用になります。付け加えていえば、ほぼ一般法といってよいと思いますが個人情報保護法ともクレジットカードは深い関わりがあります。 まず割賦販売法からみていきましょう。この法律にクレジットカードという言葉は出てきません。定義(第二条)のところで出てくるのは、割賦販売、ローン提携販売、割賦購入あっせんの三つだけです。それぞれに個品方式、クレジットカードを用いた分割払い方式、同じくリボルビング方式の取引があります。クレジットカードでも、ハウスカードといわれている自店だけで利用できるカードの場合は、自由にカードを発行することができますが、カードホルダーと加盟店の問に第三者として入るあっせん型のクレジットカードの場合は、経済産業省に割賦購入あっせん業者として登録する必要があります。いわゆる開業規制といわれているものです。

割賦販売法は1961年に制定された法律で、当時の政府の仕事は規制を通じて市場をコントロールすることにありましたから、この登録制度は長い間閉ざされたままでした。しかしバブル経済崩壊後の規制媛和政策によって、規制の最後の砦だった銀行にもこの登録が認められるようになりました。 現在は、どのような業態の会社でも要件さえ整えば割賦購入あっせん登録を受けられ、あっせん型のクレジットカードを発行することができます。また制定当時の割賦販売法に消費者保護という考え方はありませんでした。この考え方を政府が取り入れるようになったのは、1968年に消費者保護基本法が制定されてからのことです。その後、1972年の割賦販売法改正のときに目的規定(第一条)の中に「購入者等の利益を保護する」という言葉が加わって、消費者保護法に衣替えしています。消費者保護以外の目的が何かというと、「割賦販売等に係る取引を公正にし、その健全な発達を図ることにより、商品の流通を円滑にし、もって国民経済の発展に寄与する」ことです。 さらにこの法律の運用に当たっては、「割賦販売等を行なう中小商業者の事業の安定及び振興に留意しなければならない」とやはり目的規定に書かれています。

(2)支払い方法による部分適用

クレジットカードの支払い方法には、一括払い、回数を指定する分割払い、リボルビング払いが代表的なものとしてあります。これらに加えてわが国独特の給料システムであるボーナスを使った支払い方法があります。すなわちボーナス一括払い、ボーナス併用分割払い、ボーナス併用リボルビング払いなどです。一括払いは、文字通りクレジットカードの利用代金を会員規約で定められた日に一括で支払ってしまうものです。ほとんどのクレジットカードは、月一回の締日と支払日を決めており、このサイトで支払うことになります。現在国内で発行されているクレジットカードは一部にリボルビング払い専用カードのような例外もありますが、すべて一括払いができるものと思われます。また最も利用されている支払いの方法となっています。ボーナス一括払いも同じ方式ですが、ボーナス二回払いを採用しているクレジットカードもあります。一括払い、ボーナス一括払いは、手数料がかかりませんがそれ以外はほとんどの場合、手数料がかかります。分割払いは、三回とか六回、10回とクレジットカードの伝票にサインするときに、支払い回数を指定する分割の方式です。先ほど割賦購入あっせんのクレジットカードを発行するときは、経済産業省へ登録する必要があると書きましたが、それは正確にいうとこのような支払い方式を機能として備えたカードを発行するときだけのことです。もし、一回払い専用のクレジットカードを発行しようとするならば、この登録は必要ありません。ではなぜこのようなことになっているかというと、割賦販売法が規制の対象としている取引は支払い回数がキーワードになっているからです。

割賦購入あっせん型で分割払い方式のクレジットカードは、割賦販売法で次のように定義されています。「当該利用者から当該商品の代金に相当する額を二月以上の期間にわたり、かつ、三回以上に分割して受領し、当該販売業者に当該金額を交付すること」(第二条第三項第一号、抜粋)逆にいうと、この定義に当てはまらない支払い方式のクレジットカード取引は、法律上適用にならないのです。リボルビング払いのクレジットカードも同様です。同じように割賦販売法の定義をみてみましょう。「商品の代金の合計額を基礎としてあらかじめ定められた方法により算定して得た金額を当該利用者から受領し、当該販売業者に当該商品の代金に相当する額を交付すること」(第二条第三項第三号、抜粋)ここでは「二月以上三回」が「あらかじめ」という言葉に置き換えられています。この規定で一回払いが含まれるものとして読むことができれば、一回払いも割賦購入あっせんということができるのですが、それは無理ですから割賦のない単なる「購入あっせん」のクレジットカードということになるのです。リボルビングにはその合計残高に対して、一定の率の金額を支払う方式(定率方式)と、月々決まった額を払う方式(定額方式)があります。定額方式には残高がいくらの場合でも支払額が一定の方式と、残高によって支払額が決まる「残高スライド定額方式」の二通りがあります。わが国の場合は一般的には定額方式が利用されています。アメリカでは定率方式が多いようです。ちなみにリボルビングの語源は、弾倉が回転するピストルのリボルバーだそうです。わが国では「回転信用」と訳されることがあります。同じ漢字を使う台湾では「循環信用」といいます。

(3)取引条件の表示

握手

そのクレジットカードが割賦販売法の適用になるかどうかは別として、取引の開始に当たっては消費者から申し込みを受けなければなりません。そこで割賦販売法は、どのような条件のクレジットカードなのかを比較対照できるように、取引条件の表示を定めています。消費者は契約の相手方、一般的には企業が発信する情報を参考に購入の意思決定をするものですが、その情報が各社まちまちの言葉で記されていると、消費者は各社の製品やサービスを正確に比較することが難しくなります。割賦販売法は、その点を考慮してどのような項目をどのような言葉で表示するかを規定しています。これによって消費者は世の中にたくさんあるクレジットカードの中から、どれが自分にとって一番有利な取引条件を提示しているか判断できるようになります。クレジットカードの取引条件を広告するときの規定には以下の五つの項目があります。
①商品代金の支払いの期間及び回数(リボルビングの場合は、弁済すべき時期及び弁済金の算定方法)
②手数料の料率
③支払総額の具体的算定例(リボルビングの場合は、弁済金の額の具体的算定例)
④購入限度額があるときは、その額
⑤その他特約があるときは、その内容

これらの言葉の用法がカード会社によって違っていては、消費者が正確に判断できなくなってしまいますから、用語の定義も明らかにされています。例えばこの規定の中にある手数料という言葉ですが、これは期限の利益に対して徴求するお金のことをいいます。その定義は、割賦販売法の施行規則に以下のようにあります。
「金利、信用調査費、集金費、事務管理費、貸倒補てん費その他何らかの名義をもつとするを問わず割賦購入あっせんに係る手数料として割賦購入あっせん業者が購入者に対し支払わせるものの総額」
この施行規則の説明はまさに金利そのものではないかと思うのですが、とにかく割賦販売法では手数料といいます。手数料の料率は、消費者がクレジットカードを選択する上で最も重要な要素になるものです。そこで割賦販売法は、この手数料を表示する方法の統一を図り、実質年率での表示を義務づけています。もちろん手数料を取らない一回払いではなく、分割払いやリボルビング払いの場合に限ったことです。カード会社が申し込みを受諾しクレジットカードを申込者に渡すときは、先の項目を書面にして交付するようカード会社に義務づけています。一般的にクレジットカードは郵送されますが、その封筒の中にクレジットカードと一緒に入っていればいいということになります。表示に当たっては活字の大きさも決められています。JISの規格で八ポイント以上という規定ですが、これはほぼ新聞の活字に相当する大きさです。クレジットカードの申込書をいくつか並べてみると、申込者が記入する欄に加えて、規約の全部が印刷されたものと、その一部が印刷されたもの、さらに規約については何も印刷されていないものがあることに気づきます。また印刷されている字もずいぶん小さいものがあります。しかしこれが法律に違反するのかといえば、違反にはなりません。先ほど書いたように、クレジットカードの申し込み段階では規約の内容のすべてを表示する必要がないからです。この規約に合意できない場合は、送られてきたクレジットカードを解約するという選択肢が消費者に与えられています。

(4)販売時点の書面の交付

現金販売では財布からお金を取り出して、店のレジに消えるのを確認すれば商品が手元にきますが、クレジットカードの場合は現金の代わりに所定の伝票にサインして、その控えをもらうことになります。契約は口約束でも成立するものと法律の教科書には書いてあります。その通りなのですがクレジットは支払いが長期にわたることもあって、また不払いのときの取り決めなど複雑な問題も含んでいますので、販売時点での書面の交付を義務づけています。法律が義務づけている内容をおおまかにいうと、どのようなもの(商品)を分割払いやリボルビング払いの対象にし、それをいつまでに利用者に引き渡し、その代金はどのような取り決めで、誰にいつ支払うのかといったところです。不払いのときの対処についても、もちろん取り決められます。

ただし、クレジットカードを他人に貸与するような行為の禁止など、クレジットカード固有のカード管理の問題などは、その他の特約事項になっています。販売時点の書面の交付事項は、カード会社と加盟店に分担されています。クレジットカードは、毎回同じ内容で契約されるわけですから、基本的な部分は会員規約として交付して、違うところ、つまり金額などだけが加盟店で売上伝票の控えとして交付されます。つまり先に述べた会員規約の全部は、クレジットカードが会員に渡されるときに一度交付しておけば法律の要件は満たすということになるのです。控えをすぐ捨てる人がいますが、これではいくら割賦販売法などで消費者保護の充実を図っても、なんら問題の解決にはなりません。残念ながらこのような人は、消費者保護を受ける資格のない人です。ところで購入しようとしている商品の店頭での表示価格が、実際にクレジットカードの伝票に書かれるときと違っていることがあります。これは加盟店がカード会社に支払う手数料分を利用金額に上乗せするために起きます。

加盟店契約は、加盟店がクレジットカードを取り扱うときに現金客との差別を禁じていますから、このような行為は契約違反です。手数料を加盟店が負担しないでカードホルダーに負担させるこのような行為は、加盟店がクレジットカードを販売促進の道具とも、決済の道具とも考えていないために起こるものです。また、カード会社の加盟店への対応が十分でないこともその理由の一つに挙げられると思います。もっとも多少弁護しておくと、この間題はわが国だけではなく、他の国にもあるようです。ただし国によっては、手数料の上乗せを認めているところもあります。現金客に比べて便宜を受けているのだから、当然その分は消費者が負担すべきという考え方に基づきます。さて手数料の上乗せがカード会社と加盟店の問題だけかというと、必ずしもそうとはいえない難しい問題も含んでいます。加盟店手数料を上乗せする加盟店の中には、堂々と店頭にその旨を表示していることがあります。しかも、Aカードは何%で、Bカードは、といった表示をしているところまであります。もしこれらの表示を認識した上で、利用者がクレジットカードで買い物をしたとすると、この場合は相対交渉の合意の上での契約ということになって、カード会社の出る幕はないようにも思えます。

(5)支払い停止の抗弁

割賦販売法の消費者保護法として最も象徴的な規定が、支払い停止の抗弁に関する規定です。これは二者問の売買契約にある民法第五三三条の同時履行の抗弁権を、三者間のクレジット契約にも認めようとするものです。趣旨をかいつまんでいいます。同時履行の抗弁権は、買い物した商品やサービスに蝦庇があった場合は、買い主は支払いという債務を履行する必要がないという規定です。割賦販売法での割賦販売は売り主と信用供与者が同一の二者問契約ですから、商品などが引き渡されたあとで瑕疵がわかった場合は、売り主の債務が完全に履行されていないことになって、買い主は民法の同時履行の抗弁権を主張することができます。

ところで割賦購入あっせんのような三者間契約は、商品などにかかる売封契約と借用供与にかかる契約が別々に存在する契約です。したがって信用供与者は同時履行の抗弁権の対象にはなりません。しかしそれでは二者問契約の場合と同じような経済効果を持つにもかかわらず、不公平であるという理由で1984年に割賦販売法が改正になり、支払い停止の抗弁権として導入されました。割賦販売法第三〇条の四の概要は次のようになっています。 「購入者がクレジット会社から分割払いの請求を受けたときは、買い物した商品やサービスの販売店に生じている事由をもって、当該支払の請求をするクレジット会社に対抗することができる」(要約)さらに消費者にとって不利な特約を設けてはいけないとか、支払い停止をする理由について信用供与者から書面の提出を求められたら、消費者は提出するように努めなければならないとしています。またこの規定は一部の取引を除いて商行為では適用になりません。つまりこの規定は瑕疵があって販売店が対応してくれないときに、信用供与者に対する支払いを停止できるというものですが、同時履行の抗弁権のように信用供与者に対して、瑕疵の回復を求めて明約の解除までできるものではありません。またすでに支払った分の返還を求めることもできません。あくまでも支払いを止めるところまでの権利とされています。この規定が導入された経緯を簡単に説明しておきます。

1975年ころから信販会社の全国展開に伴ってその原動力ともなったショッピングクレジットが、急激に取扱高を増やすようになりました。その際何も問題が起こらなければよかったのですが、急拡大にひずみはつきものです。商品の引き渡しがないのに、支払いだけが残るような消費者トラブルが多発したのです。法律改正の直接の動機は、このような取引における消費者救済にあったのですが、クレジットカードも割賦販売法の中で同じ三者間契約だったために、支払い停止の抗弁権が適用される取引になりました。ただしクレジットカードの取引でこの規定の対象になるのは、割賦業法の定義にあったように、二月以上にわたり、かつ三回以上の分割払いや、リボルビング払いによる取引だけです。支払い形態からだけを考えれば、ショッピングクレジットもクレジットカードも契約の形態が三者間で同じですから、支払い停止の抗弁権が適用されるのは当然ということになります。Lしかし消費者救済という本来の目的から考えれば、契約の申し込み時点から商品が特定されているショッピングクレジットと、特定されずにカードホルダーの選択によって利用されるクレジットカードは、別の扱いという考え方があってもよかったのではないかと思います。

(6)規制のアンバランス

なぜこのように考えるかというと、法改正のきっかけになったショッピングクレジットのトラブルは、訪問販売などの販売員に薦められて契約していることが多いからです。ところがクレジットカードの場合は、店頭販売や通信販売での利用がほとんどで販売員に薦められて買い物することは、その仕組みからも例外的です。したがって、トラブルがそれほど多くないところに、規制の網を被せる必要はありません。また支払い停止の抗弁権の規定を割賦販売法に新設したのには、二者間の契約であれば同時履行の抗弁権があるにもかかわらず、三者間契約の場合はそれが認められないのは規制のアンバランスであるという理由がありました。確かにその通りです。当時のクレジットカードの発行枚数は6000万枚程度であって、現在の四分の一もありません。まだまだ一般的な取引とはなっておらず、ほとんどのクレジット取引が個品方式でしたから、規制のアンバランスというのは正しかったのです。ところが時間の経過とともに支払い停止の抗弁権の考え方は、加盟店管理という考え方に変わってきて、それは一回払いのクレジットカードも同様であるとされるようになってきました。ショッピングクレジットのトラブルの責任が、クレジット会社にあるとして単に支払い停止の抗弁の対症療法的な問題だけではなく、そもそもトラブルを起こす加盟店と契約していたのだから、クレジット会社に責任があると考えるようになってきたのです。ショッピングクレジットでこのような考え方が出てくると、同じ割賦販売法の適用の範囲に入っているクレジットカードも、同様の責任が問われるようになってきました。しかしクレジットカードは一回払いの契約が多いので、支払い停止の抗弁権は適用のしょうがありません。つまり、それを飛び越えて加盟店管理の責任がいわれるようになってきたということです。ここまでは時間の経過によって生じた問題といえますが、同じようにこれからのことを考えると、やはり同じような問題が発生する可能性があります。

デビットカード トラブル

デビットカードとの関係です。デビットカードは銀行取引であって、形式的にはカードを読み取って暗証番号を入力することで取引が終了します。契約的には店の口座に振込をしたのと同じです。クレジットカードも外形的にはまったく同じ形式の取引があります。違うのは預金口座から店の口座に振り込むか、その代金をカード会社に支払ってもらって後日カード会社に払うかだけです。どちらも銀行の残高が減るというところは同じて、その時期がすぐか一定の時間後かです。こうなると何が問題かということになるのですが、もし買い物した店が詐欺的な商売で一時に莫大な利益を上げることを目的としていたとします。クレジットカードやデビットカードの加盟店でもありました。そこで買い物した人は不良品をつかまされて、警察の出番はないにしても社会問題になりました。当然、加盟店管理の責任が追及されるようになります。そのときクレジットカードは加盟店管理の責任が追及されますが、デビットカードは単なる振込という銀行取引をしただけなので、責任を追及する術がないのです。しかし買い物のときの消費者の手続きは、もし暗証番号を入力することによる本人確認を採用している加盟店であれば、クレジットカードもデビットカードも同じです。契約的には、まったく違うとしても消費者としては何も違うことをしていないのです。デビットカードはそれほど普及していませんし、キャッシュカードをそのまま使うというわが国のシステムでは、インターネットでデビットカードを使うことができません。したがってこれからもそれほど普及するとは思えませんが、理屈の上ではちょっと困った間題といえます。もしかしたら将来的には大変大きな問題になっているかもしれません。

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