クレジットカードに関連する法律2

2.貸金業規制法

(1)キャッシング部分に関する規制法

クレジットカードのキャッシング部分は、貸金業規制法が適用になります。1983年に制定され、文字通りルールを決めるというよりも規制を目的とした法律です。制定は議員立法によって行われました。この背景には、当時いわゆるサラ金禍が大きな社会問題になっており規制の必要性が求められたからです。そのころ批判の対象になっていたのは、いわゆるサラ金三悪といわれていた、 ①高金利、②過剰貸し付け、③過酷な取り立てです。法律もこの部分を中心とした業務規制が強く打ち出されました。割賦販売法のような消費者取引関連法に共通しているのは、消費者の意思決定のための条件表示と、契約に関係する取引に際しての書面の交付です。貸金業規制法にもこれらの規定はもちろんありますが、この種の一般的な法律の罰則が罰金止まりなのに対して、この法律は懲役刑まであります。
いわゆるサラ金三悪といわれていた内容は、以下のように規制されました。
①高金利
金利に関する法律は、「利息制限法」と「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(出資法)の二つがあります。このうち後者は違反すると三年以下の懲役という刑事罰もあるのですが、前者はそれがなくクレジットカード会社も含めた貸金業者の多くは後者の金利を適用して業務を行っています。
②過剰貸し付け
1980年代前半にいわゆるサラ金問題が起きたときは、店頭に五万円借りに来た人に、10万円貸すようなことがしばしば行われていたといいます。高金利に過剰貸し付けでは、返済不能の状態に陥ることは容易に想像できます。そこで貸金業規制法は過剰貸し付けを防止する目的でルールを決めました。それは申し込みの際に借り入れ希望額、すでに借りている額、年収を申込書に記入することを求め店頭で簡便な審査で行う、無担保、無保証の貸し出しは一業者当たり50万円、または年収の10%に相当する額を上限にするというものです。
③過酷な取り立て

貸金業規制法は、相手を威迫したり私生活の平穏を害するような行為を禁止しました。逆にいえば当時はそのような行為があったということです。具体的には、多人数で強引に訪問すること、正当な理由がないのに午後九時から午前八時までその他不適当な時間に電話・電報・訪問し、または過度に行うこと、はり紙、落書き、その他いかなる手段であるかを問わず、借り入れ事実やプライバシーに関する事項をあからさまにすること、勤務先を訪問し、困惑させたり不利益を被らせること、などが法律で規制されました。
21世紀に入ってまもなくのころ、自殺者まで出したヤミ金融が大きな社会問題になりました。これを機会に貸金業規制法はさらに厳しい内容になりましたが、ヤミ金業者はたいてい法律を守る気などない業者です。結果的に起こったことは、真面目にやっている業者が遵法のためにさらにコストがかかるようになったということです。クレジットカードにおける加盟店管理責任と似たような構図になっています。

(2)貸金業規制法第四三条の問題

クレジットカード 利息

貸金業規制法の制定前の出資法では、業として行う場合の貸付利率は年率109.5%がその上限でした。その後、数次にわたって引き下げられ現在は29.2%がその上限です。しかし利息制限法が規定する金利は、元本が10万円未満は年20%以下、10万円以上100万円未満は年18%以下、100万円以上は年15%以下です。この二つの法律の金利差の部分がグレーゾーン金利といわれているもので、貸金業規制法では、同法に基づいて登録した貸金業者が営業する場合、利用者が任意に支払ったその利率に基づく金利の弁済は有効であると規定しました。もう少し正確にいうと、貸金業規制法は契約時に契約書面を、返済を受けたときに領収書を交付し、それらに書くべき項目について定め、それらの条件を満たした上で利用者が〝任意に"利息制限法を超えた金利を支払った場合は、貸金業者はそれを有効なものとして受け取れるという規定です。この間題はとにかく大きな議論を呼んでいます。少し整理しておきましょう。

まず利息制限法は制限利率を定めて、それを超えた金利については「その超過部分につき無効とする」としています。それを貸金業規制法第四三条では「当該超過部分の支払は、(利息制限法)同項の規定にかかわらず、有効な利息の債務の弁済とみなす」とします。 この規定を有効なものにするためには、先ほどのいくつかの条件を満たす必要があるのですが、時代の変化にともなって営業実態が変化しているにもかかわらず、規定の変更が行われていないため現実と法とが承離したものになっています。すなわち法律の制定当時の契約形態は、その都度契約書を交わし返済は分割払いで行うものでしたが、その後のコンピューターシステムの進化などもあって、現在はカードを交付して返済方法はリボルビング払いによるものが多くなっているのです。これでは契約の内容自体が異なるのですから、法律を守りたくても守ることはできません。分割払いは返済回数を指定して契約しますが、リボルビングにそのような概念はないからです。また支払いの任意性というやっかいな問題もあります。さらに問題があります。貸金業規制法第四三条が適用にならずに受け取った利息が否定された場合のことです。法律に書かれているのは「有効な利息の債務の弁済とみなす」としてあるだけですから、否定された場合にそれを返すのか返さないのかがわからないのです。しかも長い間、借りては返すというようなことを繰り返していれば、グレーゾーンの金利部分の支払いが元本を上回ってしまうこともあります。

現在では、利息制限法を超えた払い過ぎの分を返して元本に繰り入れ、さらにそれを超えて元本以上の返済をしていた場合には、その分は返すというのが一般的な債務整理の方法になっています。つまり債務を清算するときに、過払いになっていた分があったとすれば、それを返してもらって別の債務の弁済に充てて、返済する債務の額を減額するという方法です。仮にある契約で貸金業規制法第四三条が認められずに、その超過部分を計算する必要が生じた場合、必要なのはこれまで返済した分についていくら利息を払って、いくら・化本を王状-たかという過去に遡った取引履歴です。もちろん債務者がそれらの資料を持っていれば、それで済むのですがこのようなことはまずありえませんから、貸金業者に開示を請求することになります。さらにクレジットカードの場合は、ショッピングとキャッシングを同時に請求しますからさらに複雑です。当然のことですが超過部分の支払いを前提にシステムを組んでいるわけではありませんから、取引履歴の開示には膨大な事務作業量がかかるのです。法律の解釈と事務的なこのような難しさがあって、貸金業規制法第四三条はもめにもめています。

(3)もめる原因

しかし一度受け取った利息をいつの時点かわかりませんが返金するということは、貸金業者にしてみればそれまでの決算期で収益として計上し、利益があれば税金も払って済んだことです。その分を出すということですから、当然会社の決算もやり直したいくらいです。もちろんこのようなことは認められません。ところがこの間題は、それほど新しい問題ではありません。1876年に現在と同じ名前の利息制限法が制定されたときも同じようにもめているのです。同年の法律も現在の利息制限法と同じように規制金利を定めています。その上で「この制限を超適する分は裁判上無効のものとし、その制限にまで引き直す」としています。もめたのは「引き直す」という部分です。これでは将来にわたった契約に関することなのか、過去に遡ったものなのかがわかりません。当時の最高裁判所である大審院は解釈の分かれる地方裁判所に何度も、すでに支払われた分はそのままにせよと通達を出しましたが、それでも解釈は分かれました。結局外国人の法律顧問に意見を開いて、最終的にはそのままということにしたのですが、そのときのイギリス人顧問の見解は、超過利息の契約は不法だから法律の精神を考えれば無効であるというものでした。一方フランス人顧問の見解は、フランス民法は賭博の債権に請求権はないが、すでに受け取ったものについては認められるとしているから、それと同じに考えて不道徳を取り交わしたとはいえないというものでした。結果的にはフランス人の法律顧問の意見が通ったことになります。

明治以後もこの混乱は続きます。綿々と続くこの間題は、日本人の法律、あるいは借金に対する国民性に由来した問題なのかもしれません。ただし一ついえることは、この間題はクレジットカードの不正使用を誰が負担するかという問題に似ているということです。このような貸し倒れやすでに受け取った利益の返還は、会社の損失に他なりませんが、それは現在その会社と契約のある他の債務者が支払っているものなのです。過剰債務に陥った人の救済にはいい方法といえますが、消費者金融のニーズを満たすという広い意味での与信会社の責務を考えると、はなはだ歪んだものになってしまいます。債務者の救済は、もっと別の方法を考えるべきです。もっともこのような問題が起きるのは、法律がまさにダブルスタンダードの状態になっているからです。どの程度の金利が適当なのかは見解が分かれるところですが、解決が望まれているところです。

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