クレジットカードの防犯術3

5.ICカードに替える際の注意点

ICカード化の流れは止められない

カード犯罪多発の最大原因となっているのは、クレジットカードやキャッシュカードに広く使われている磁気ストライプです。これは100年以上も前に登場したテープレコーダーの録音用磁気テープと同じ原理の技術です。じつに時代遅れの技術といえます。クレジットカードの場合には、72文字分の記録容量があり、そこにカード番号などの情報が磁気方式で記録されているわけですが、テープと同じ原理ですから、その情報は簡単に盗み取ることができます。現金(情報)がむき出しになっている状態だというのは、脅かしでもオーバーな話でもないのです。この弱点を克服するために生まれたのがICカードで、こちらはさまざまなセキュリティ対策が講じられています。磁気カードに比べれば、ガードマン付きの現金輸送車といえるでしょう。そのICカードが、クレジットカードやキャッシュカードとも急速に普及してきました。銀行やカード会社は盛んにICカードへの切り替えを訴えかけていますが、その場合の注意点を考えてみることにしましょう。まず、クレジットカードの場合です。こちらは3年から5年の更新時期になるとカード会社がICカードを送ってきますから、それを待っていればよいでしょう。ICカードに切り替わったからといって年会費が上がったりはしません。三井住友カードの場合、すでにプロパー・カードの多くがICカードに切り替わったということです。これから、提携カードが順次ICカードに替わっていきます。提携カードのICカード化が遅れるのは、カード会社の判断だけでなく、提携先企業の懐事情もあるからです。というのは、ICカードの製造コストはまだ高くて、その負担を提携企業側にも求められるからです。しかし、流れは完全にICカード化に向いていますので、カード犯罪への抑止には十分になりえるでしょう。

ICクレジットカードが抱えるリスクと問題点

キャッシュカード

問題はむしろ、クレジットカード端末のほうです。210万台ある端末のうち、まだ10万台強のCATしかICカード対応端末に置き替わっていません。まだまだ磁気カード対応の端末が多いのです。そのため、ICクレジットカードといってはいますが、まだすべてのカードに磁気ストライプが搭載されています。この磁気ストライプをスキミングされる危険性が残っているのです。これには注意しておく必要があります。磁気ストライプが搭執されている限り、リスクは依然として高いといえます。こうしたことから、ICチップが搭載されたICクレジットカードの普及が全面的に進み、カード犯罪が撲滅されるにはもう少し時間がかかるでしょう。目安としては、07年度に40万台のCATがICカード対応端末に置き替わる予定になっています。この頃から抑止効果が出てくるのではないでしょうか。ICクレジットカードに替わると、一番の変化は本人確認の方法です。磁気ストライプのカードではサインが中心ですが、ICクレジットカードになると、4ケタの暗証番号で確認するようになります。暗証番号というとキャッシュカードを連想しますが、クレジットカードにも暗証番号は設定されています。しかし、キャッシングのときくらいしか使いませんから、それを知る人は意外に少ないのです。実は、そのことがカード会社の悩みになっています。ICカードの普及を前に、利用者に自分の暗証番号を思い出させたり、新しく設定し直させたりと、いろいろなキャンペーンを行う必要に迫られているからです。

ICキャッシュカードはクレジット機能付きがお勧め

一方、銀行が発行するICキャッシュカードは、いくら待っていても送られてきません。ICカードに替えてはしければ、自ら申し出る必要があります。ICキャッシュカードは、みずほ銀行、三井住友銀行、東京三菱銀行、UFJ銀行のメガバングはすべて導入ずみですが、地銀はまだ少ないのが現状です。地銀が遅れているのは、対応ATMの問題があるからです。地銀の場合は、利用者の多くがコンビニのATMを利用しますが、コンビニのATMはまだICカード対応になっていません。そのため、普及の遅れが目立つようです。また、ICキャッシュカードでは、ほとんどの場合、切り替えは有料となっています。みずほ銀行では1050円の手数料がかかります。三井住友銀行も、手数料1050円がかかりますが、「ワンズプラス口座」対象者は無料となっています。東京三菱銀行は、ICキャッシュカードであれば2100円の手数料がかかります。ただ、クレジット機能付きの「スーパーICカード」なら、年会費無料で持つことができます。UFJ銀行は手数料2100円がかかります。メインパンクのキャッシュカードとクレジットカードを1枚にまとめようという人には、この際、東京三菱銀行のスーパーICカードや、みずほ銀行の「みずほマイレージクラブカード・セゾン」のような、クレジット機能付きICキャッシュカードがお勧めです。

6.暗証番号の上手な作り方

生年月日を暗証番号にしてはいけない

キャッシュカードでお金を引き出すときに必要な4ケタの暗証番号には、細心の注意を払わなければなりません。スキミング被害にあった人のうち、じつに4割が自分の生年月日を暗証番号にしていたといいますから驚きです。それほど生年月日を暗証番号にしている人が多いのも隠しようのない事実ですが、生年月日の数字だけは絶対にやめたいものです。生年月日と並んで多いのが、自宅の電話番号と自家用車のナンバーですが、これらも危険です。というのも、キャッシュカードやクレジットカードと一緒に、免許証の入った財布や保険証の入ったバッグを盗まれた場合、これらの3つの数字はどこかに書かれていますから、犯罪者に簡単に割り出される恐れがあるからです。生年月日や自宅の電話番号、自家用車のナンバーの数字を暗証番号として使っている人は、いますぐ変更してください。暗証番号を変更するのはATMでもできますし、ネットで変更できる金融機関も多くなっています。 しかし、何かほかのよい番号を見つけたいと思っても、これがなかなか難しいという声を聞きます。特徴のない数字では、すぐに忘れてしまうからです。私が実践しているのは、自分が忘れられない記憶にまつわる数字を使うということです。できれば、ラッキーな思い出がよいでしょう。幸せな思い出にまつわる番号なら、暗証番号を打ったびに幸福な気持ちになりますし、精神衛生にもよいのではないでしょうか。では、実際にどんな番号があるでしょうか。まだ若い人なら、高校や大学に受かったときの受験番号です。憧れの学校に受かったときの喜びは大きなものです。そのときの番号は一生のお宝という人もあるのではないでしょうか。そんな数字は忘れたという人なら、学生時代や家族の思い出にまつわる数字を考えてみてください。例えば、大学時代の学生番号というのがあります。これを私はいまでも覚えています。私の番号は「372T01××」でしたが、語呂がよかったのと毎回授業のときに出席票の提出を求められて書いていたため覚えたのです。このような数字を組み合わせて4ケタにすれば、おそらく模範的な暗証番号になると思います。というのも、暗証番号の理想は家族(配偶者や子ども)にも知られない、自分だけにわかる数字で、しかも決して忘れないものであることが条件だからです。学生番号などは、その条件にぴたりと合っています。

忘れることのない仕事や健康、趣味にまつわる数字を活用する

また、社会人の方なら初任給や初めてもらったボーナスの金額もいいかもしれません。とくに、初めてもらった給料の額というのは、何年たっても意外と忘れないものです。その数字の最初の4ケタを暗証番号に設定してしまうのです。例えば、初任給が20万4360円だった場合、頭の数字の「2043」を暗証番号にするといった具合です。会社関係ではこのほか、仕事にまつわる印象深い数字を使うのも面白いでしょう。私生活面に日を向けると、健康に関する数字もいいと思います。健康はいまや、日本人の最大の関心事となっています。例えば、理想の体重や目標とすべき体脂肪比率をもとに暗証番号を設定することもできます。医者からあと5キロ減量するようにと言われた人なら、目標とする体重を暗証砕けにできます。5キロ減らせば68.21キロになる人であれば、「6821」を暗証番号にします。健康管理をもっと厳しくしたいと考えている人なら、目ざすべき体重脂肪比率を暗証番号に設定することも効果的でしょう。なぜなら、ATMに暗証番号を打ち込むたびに、「今日は油ものを控えよう」とか、「お酒を飲むのはよそう」などと考えがちだからです。 趣味に関しても暗証番号を作れます。例えば、登山愛好家の場合、一度は登ってみたい名山の標高を暗証番号にできます。世界最高峰のエベレストは8818メートル、日本一の富士山は3776メートル、2番目の北岳(南アルプス)は3192メートルです。エベレストは無理としても、北岳なら何とか登れるかもしれません。目標を北島としたら、暗証番号も3192としましょう。このほか日本には、「百名山」に指定された有名な山々もあります。趣味面ではさらに、オーディオがあります。アキュフューズなどの高級オーディオを愛用している人なら、その型番を暗証番号に設定する方法もあります。暗証番号というと、つい堅く考えがちですが、少し方向を変えて記憶の中とか、身の周りを中心に肩の力を抜いてみると意外によいものが浮かぶはずです。よい暗証番号を設定できれば、ATMに打ち込むたびにファイトが湧いてきますし、よき思い出と結びついている場合には何となく楽しくなったりします。ICカード化が進めば、クレジットカードでも暗証番号を入力する機会が増えますから、十分に注意して自分だけの素敵な数字を作り出すようにしてください。

7.預貯金を守る最低限の知恵

大口預金の場合はキャッシュカードを作らない

デビットカード

スキミング被害というと、1年くらい前まではクレジットカードが対象になっていました。それが03年あたりから、キャッシュカードに移ってきました。クレジットカードには、買い物にしろキャッシングにしろ限度額がありますが、キャッシュカードには限度額がありません。被害にあえば、預けてあるお金を丸ごと引き出されてしまいます。まことに恐ろしいことです。そうした被害にあわないためにも、 日頃から自分の手でキャッシュカードをしっかり管理したいものです。スキミングにあわないための基本ルールはいくつかあります。いつ、誰が預金を引き出しているかわかりませんから、通帳記入は定期的に行うようにしたいものです。そうすれば発見も早く、解決を早めることもできます。また、1枚のキャッシュカード(口座)には、最低限必要な金額だけ入れておくことです。運悪くカード被害に遭遇しても、最少の被害額ですむようにしておかなければいけません。1つのところに大金を入れておかなければよいのです。そして、大口預金については、キャッシュカードを作らないようにすべきです。お金を引き出す際は、預金通帳と登録した印鑑で行えばいいのです。ICチップの載ったICキャッシュカードは、口座情報が暗号化されて格納されているため、偽造しにくい構造になっています。また、情報を取り出そうとするとデータが壊れるように工夫されたカードもありますから、安全面ではほぼ万全といえます。キャッシュカードは、簡単に素早く預金を引き出せる便利な道具ですが、それは犯罪者側にとっても同じことなのです。スキミング被害が広がるにつれて、銀行が補償するかしないかということが社会問題化しました。当然、銀行側の責任も問われる点はありますが、私たち利用者側の自己管理こそが大切なのではないでしょうそれには、リスクを増大させる無駄なキャッシュカードは処分したり、大口預金のある場合はキャッシュカードを作らないなどの基本ルールを守ることです。問題となっている暗証番号も、他人に簡単に類推されない、自分だけの番号を付けるようにしたいものです。また、最近のATMは暗証番号の変更を簡単にできるようになっていますから、定期的に変えることもカード犯罪から身を守る有効な手段といえます。こうした、いますぐにでもできる対策を、面倒くさがらずに後回ししないで、1つずつ行ってほしいものです。

本人確認に合い言葉が必要な信用金庫も出現

銀行はようやくカード被害の補償に応じることになりましたが、カード犯罪そのものがなくなるわけではありません。犯罪者側は、これからもあの手この手を使って虎の子の銀行預金をかすめ取ろうとすることでしょう。恐ろしいスキミング被害、偽造カード被害にあわないためには、自衛策をとる必要があります。幸い銀行はさまざまなサービス(自衛策)を提案し始めています。それをよく勉強し、万全と思える銀行を選び、自分のキャッシュカードは自分で守る決意をしましょう。銀行が用意している自衛策は、引卸し額の制限から利用者による限度額設定、本人確認方法、ICカードの切り替えまでいくつかあります。まず、引出し額の制限ですが、偽造カード被害にあったときに1日で預金全額を引き出されるケースが相次ぎました。この事例を受けて金融機関では、1日の引出し街を制限する動きを顕著にしています。そして、これまで最大500万円だった引出し限度額を50万円まで下げるところが出てきました。今後も他行が追随するようですから、運悪くスキミングにあっても、被害額を小さくできるようになるでしょう。利用者が自ら1日の引出し限度額を設定できる銀行もあります。0円から1万円単位で設定できるのが三井住友銀行で、最高300万円まで可能です。メガバンクでこのサービスを最初に実施したのは三井住友銀行ですが、地銀ではその多くがすでに導入ずみです。ATM利用指定時間を設定できるサービスもあります。これは泉州銀行などが行っているものですが、実際にはインターネット銀行で始まったサービスで、携帯電話で時間を設定してATMの利用ができるようになっていました。それをリアルの銀行でも採用しょうというものです。さらに、1カ月の引出し限度額を利用者が設定するというサービスもあり、多摩信用金庫などが行っています。このほかにユニークなのが巣鴨信用金庫でしょう。ここでは、預金引出しができるのは口座を開設した店舗だけで、しかもキャッシュカードは発行されません。預金を引き出したい場合には、運転免許証と合い言葉が必要になります。合い言葉は、例えば、演歌歌手の氷川きよしなど馴染み深い名前にするとよいといいます。とげ抜き地蔵で有名な「おばあちゃんの原宿」巣鴨ならではのローテクなスキミング対策といえます。

↓ 更新時期

クレジットカードは本人の信用に基づいて発行されているので、有効期限が定められている。有効期限は、カードの表面に表示(エンボス)されている。信用状況等にとくに問題がなければ、期限前に自動的に新しいカードが送られてくる。

↓ プロパー・カード

自社で発行する自社ブランドのカード。

↓ メガバンク

都市銀行の中でも、巨大な経営組織となっている銀行。日本で4大メガバンクと呼ばれている東京三菱銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、UFJ銀行のうち、東京三菱銀行とUFJ銀行は経営統合される。

↓ 地銀

正式には地方銀行と呼ばれ、現在64行ある。全国地方銀行協会に加盟する銀行で、旧相互銀行から業態転換した第二地方銀行と区別し て使われることが多い。

↓ スーパーICカード

キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーの機能を加えたキャッシュカードに手のひら静脈誠証などを導入しており、安全性が高い。

↓ みずほマイレージクラブカード・セゾン

みずほ銀行と、クレディセゾンの提携カード。みずほ銀行のICキャッシュカードに、クレディセゾンのクレジットカード機能を導入している。年会費は無料。

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